シングルバトルのLv.1ポケモン考察
第四世代で気合の襷が実装されて以降、敢えてレベルを1にし通常ポケモンと渡り歩く戦術が数多く考案され、ルールを問わず活躍してきた。今回はシングルバトルにおける有用なレベル1ポケモンについて考察しようと思う。
第七世代のシングルにおいてこういったポケモンの個体数は少なく、レートで遭遇することは極めて稀である。
環境に目を向けると、親子愛ガルーラの使用率は低下したもののゲッコウガの水手裏剣採用率の増加、混乱実のがむしゃら耐性が向かい風になっており活躍が難しくなっている。しかしPTを半壊させられる奇襲性を持っていることは確かであり、いざ遭遇した時に何をしてくるか分からないのは危険なので知識を持っておくことは大事である。
Lv.1ポケモンとは
敢えてレベルを1にしそのステータスの低さを逆に利用して戦う。大きく分けて3つに分類される。
❶がむしゃら+先制技型
襷で耐えてがむしゃらで相手のHPを1にし先制技でトドメ。対面から一匹持っていく。
❷トリックルーム型
トリル下でほぼ確実に上から行動できることを活かして場づくりをする型。襷を持たせトリル+何かしらの仕事をする。
❸頑丈型
特性版襷である頑丈をHPの少なさを利用して複数回発動する。戦法は様々。
レベル1であるメリット
❶がむしゃら
"相手のHPを自分のHPと同じ数値に出来る分のダメージを与える"攻撃技。よってHP10程度のレベル1ポケモンなら無傷の状態でも問答無用で9割強のダメージを与える大技になる。攻撃技なので身代わりや挑発で対策出来ない。
凡ゆる攻撃で襷が発動し確実に後攻を取れるので、がむしゃら+先制技との相性が極めて良い。
❷いたみわけ
自分と相手のHPを平均する変化技。HP10程度のレベル1ポケモンが使う場合相手のHPを半分弱減らすことが出来る。
頑丈持ちが使えば特性が復活するので半永久的なゾンビ吸収が可能。
❸きのみジュース
HPが半分を切った時自動で20回復するアイテム。頑丈持ちに持たせることで全回復し2回の行動保証を得られる。
コイルならこれをリサイクルすることでゾンビできる。
❹トリックルーム
発動すればほぼ確実に上を取れる。トリル始動役として見るとあらゆる攻撃で退場出来る脆さも武器。
❺やどりぎのタネ
レベル50ポケモンのHPの1/8は、レベル1ポケモンにとっては全回復。頑丈ポケモンは何もせずに毎ターン復活するオアシスになる。
❻パワーシェア、ガードシェア
相手と自分のAC(BD)を平均化する技。ほぼ0のレベル1ポケモンと平均化すれば実質能力2段階ダウンと同じような効果を得られる。
❼貝殻の鈴
攻撃で与えたダメージの1/8を吸収する持ち物。頑丈ポケモンががむしゃらでダメージを与えた場合全回復できる。ただし限定的な場面でしか活躍出来ない為殆ど使われない。
因みにダメージ計算には使用者のレベルが大きく絡んでくるのでレベル1ポケモンのイカサマは全く使い物にならない。
レベル調整について
必ずしもレベルが1である必要はない。レベルを上げる一番のメリットはレベル50の最遅調整をした鈍足ポケモンを抜けるようになること。
ナットレイ(S実数値22)やツンデツンデ(S実数値16)はタネマシンガンやロックブラストという連続技を持っている為、レベル1ポケモンの襷や頑丈を貫通して倒すことが出来てしまう。しかし例えばそれらを抜けるようレベル7に調整した最速スバメなら上からがむしゃらで大きく削ることが出来る。このように環境に一定数いるナットを抜くラインであるS実数値23まで上げることは有用。
反面レベルを上げるとHPが増えてしまうため、削られていない状態でのがむしゃらや痛み分けのダメージが少なくなるというデメリットがある。また特性頑丈のポケモンはHPが21以上だときのみジュースで頑丈を再発動出来なくなってしまうのでその点との兼ね合いも考えなければならない。
それでは型ごとに有用なレベル1ポケモンを紹介していこう。
がむしゃら+先制技型
スバメ
ナット抜き最低レベル7(HP22)
特性肝っ玉、ゴースト地面無効、がむしゃら、電光石火、追い討ち、吹き飛ばし、蜻蛉返り、追い風
第四世代から存在する元祖レベル1ポケモン。特性肝っ玉によりゴーストタイプにもがむしゃらと電光石火が通る。影撃ちも無効でギルガルドすらがむ石火で処理できるのは流石といったところ。
電光石火を読んで引く相手を逃さずに落とせる追い討ちを覚える点も非常に強力。
また地面無効なので、攻撃技が地震しかない混乱実カバルドンに対して2回がむしゃらを押ししっかりHPを1に出来る。
ドーブル
ナット抜き最低レベル7(HP24)
がむしゃら、氷の礫、フェイント、追い討ち、トリックルーム、やどりぎのタネ、ステルスロック、置き土産、りゅうのいかり、キノコの胞子など
搦め手の象徴ドーブルはレベル1でも優秀。ステータスの低さも気にならない。
後述のトリックルーム型を含めレベル1ポケモンに気合の襷を持たせる場合は、特性かタイプで差別化しない限り全ての技を覚えるこの子の下位互換になる。
マラカッチ
ナット抜き最低レベル8(HP30)
特性呼び水or貯水、がむしゃら、不意打ち、やどりぎのタネ、撒菱、はたき落とす、草笛、身代わり
特性で水手裏剣が無効なのでゲッコウガにも勝つことが出来る(影撃ちは知らん)。先制技が不意打ちなのは若干不安定。
特性はHPが回復してしまうと【がむしゃら+不意打ち】で倒せなくなるため呼び水が無難だが、身代わりを採用する場合は貯水でも良いかもしれない。
ウリムー
ナット抜き最低レベル9(HP28)
特性鈍感、電気無効、砂ダメ霰ダメ無効、がむしゃら、氷の礫、ステルスロック、吠える
砂霰ダメージをどちらも無効化、更に特性鈍感により補助技を挑発で防がれない。
エルフーン
ナット抜き最低レベル5(HP21)
特性悪戯心、胞子宿り木耐性、竜技無効、がむしゃら、自然の力、トリックルーム、やどりぎのタネ、身代わり、挑発、アンコール、置き土産、草笛、蜻蛉返り
※自然の力は変化技なので悪戯心に対応したトライアタックになる。
とっても器用な子。【がむしゃら+先制自然の力】や【先制宿り木+先制身代わり連打】で1匹持っていってからの置き土産での退場のほか、【トリックルーム→がむしゃら】も可能。挑発やアンコールなどの優秀な補助技も揃っておりそれらを優先度+1で放てる。
悪タイプには悪戯心補助技が無効になってしまう点がウィークポイント。
トリックルームタイプ
フレフワン
特性アロマベール、竜無効、トリックルーム、がむしゃら、金縛り、マジックコート、ムーンフォース
特性アロマベールにより挑発やアンコールが無効。トリルとがむしゃらを両立できる数少ないポケモン。
ハギギシリ
特性ビビットボディorミラクルスキン、トリックルーム、痛み分け、マジックコート、挑発、金縛り
特性ビビットボディにより先制技が無効。先制技に怯えずに【トリックルーム→何かしら】の仕事が出来る。どうせ先制技は飛んでこないので補助技の命中を50%にするミラクルスキンもありか。寧ろビビットボティを知らずに先制技を撃たれる方がトリルターンを無駄に消費してしまうのでミラクルスキンの方が良いかもしれない。怒りの前歯は覚えない。
ミミッキュ
特性化けの皮、ノーマル格闘竜無効、トリックルーム、道連れ、呪い、鬼火、光の壁、痛み分け、挑発、影撃ち
特性と多くの補助技に恵まれたトップメタ。襷を持たせれば2回の行動保証を得られるので【痛み分け→トリックルーム→呪い】のような動きも可能。Lv.50ミミッキュはまあまあ速いのでトリル下で上から動けないことも多いがLv.1なら心配なし。
ネイティ
特性マジックミラー、地面無効、トリックルーム、痛み分け、電磁波、電光石火、ふいうち、黒い霧、シンプルビーム
特性マジックミラーと地面無効で地震ワンウェポンのカバルドンを完封できる。
ヒトモシ
特性すり抜け・貰い火、ノーマル格闘無効、トリックルーム、置き土産、痛み分け、鬼火、挑発、呪い、黒い霧、クリアスモッグ、パワーシェア
特性すり抜けにより相手の身代わりを貫通出来る。置き土産、鬼火、パワーシェアと相手の火力を落とす手段に富んでいる。
頑丈タイプ
ココドラ
頑丈、毒砂ダメ無効、がむしゃら、毒々、ステルスロック、吠える、守る、岩石封じ
第五世代を代表するレベル1ポケモン。当時は砂ターンが永続だったので砂吹かせてこの子が貝殻の鈴がむしゃら連打してるだけで3タテというロマン戦法が理論上出来た。
現在はきのみジュースを持たせてステロ→がむしゃらで場作りする型が最もメジャー(?)。
【攻撃受ける(頑丈発動)→きのみジュース(頑丈復活)→毒々→攻撃受ける(頑丈再発動)→がむしゃら→毒ダメ】で1匹持っていくことも出来る。
守るは毒ダメ稼ぎの他、がむしゃらの入ったバシャの膝を透かせるようになり、フレドラの反動で共倒れか膝が割れるかの2択を迫れる。
コイル
頑丈、毒砂ダメ無効、リサイクル、毒々、マジックコート、エレキネット、ソニックブーム、守る、身代わり
きのみジュースをリサイクルすることで半永久的に頑丈を発動できる。【毒々→リサイクル連打】で1匹倒しつつ、頑丈を保持したまま後続と対面出来る。途中で交代されても頑丈+きのみジュースを保持している為再び毒々から入れる。
ステロや宿り木でHPを6〜10にされてしまうときのみジュースも頑丈も発動しなくなるのが弱点。
毒の効かない鋼タイプやウツロイド,レヒレに弱いので進化前の癖に磁力ジバコイルとの相性が良いという興味深い現象が起きる。
トゲデマル
頑丈、毒砂ダメ無効、がむしゃら、毒々、ニードルガード、アンコール、蜻蛉返り、エレキネット
ステロの撒けないココドラ。一応頑丈持ちの中で唯一HP21以下(レベル4)で最遅ツンデツンデ抜きが可能。ダブルでは猫騙しや手助けなどの優秀な技を覚えるのでLv.1も結構いるらしい。
ダイノーズ(Lv.2)
頑丈、毒砂ダメ無効、痛み分け、毒々、守る、ステルスロック、マジックコート、岩石封じ
先述のココドラの痛み分け版。痛み分けは相手のHP半減と頑丈復活が同時に行える。その為【毒→きのみジュース→痛み分け連打】で頑丈を残したまま1匹目を突破し2匹目も【痛み分け連打→毒々→守る】で撃破なんて芸当も可能。2匹目の動きを応用すればステロ撒いて1匹持ってくことも。
反面がむしゃらと比べると身代わりや挑発で止まってしまうのが苦しい。
相手のHPが29未満だと痛み分けで頑丈が復活しなくなるので、虫の息の相手を毒ダメで倒せるよう守るは必ず採用すべし。
マジックコートで挑発や鬼火を跳ね返せるのがオシャレ。
クヌギダマ
頑丈、痛み分け、ステルスロック、毒菱、撒菱、砂地獄、毒々、守る
ダイノーズと同じ痛み分けタイプ。毒や砂ダメを受ける分、毒菱や砂地獄といった素敵な技を覚える。砂地獄は相手を逃がさずにスリップダメージを入れられる優秀な技。
ダゲキ
頑丈、痛み分け、毒々、守る、はたき落とす、挑発
ダイノーズやクヌギダマと比べると採用メリットはかなり薄い。レベル1ダゲキにPTを半壊させられるのは非常に屈辱的。
メレシー
頑丈、トリックルーム 、ステルスロック、リフレクター、光の壁、 ガードシェア、マジックコート、重力、大爆発
頑丈きのみジュースのおかげで2回の行動保証が得られるトリル始動役。【ステロ→トリル→ガードシェア】など。ガードシェアで実質相手のBDを2段階下げられるのがオシャレ。
相性の良いポケモン
❶攻撃しながらステータスを上げれるポケモン
がむしゃらや痛み分け連打でHPが僅かに残った相手を餌に強化する。レベル1ポケモンのがむしゃらなら残って10程度なので容易く落とせる。
特性ビーストブースト、グロウパンチガルーラ、天邪鬼ジャローダ、炎の舞ウルガモス、自信過剰カイロスなど
❷先制技持ち
ただし相手ポケモンの上を取れていなかった場合大きく削られてしまう可能性もあるので、先制技持ちを何体か入れておくと心強い。
ミミッキュ、ゲッコウガ、ガルーラ、自信過剰カイロスなど
❸トリルアタッカー
トリルを使う場合。クチートやアシレーヌのような一貫性の取りやすいポケモンが良い。
❹相手の身代わり持ちに対してケアの効くポケモン
ダイノーズのような補助技を主体にするレベル1ポケモンは身代わりを貼られるだけで無力になってしまう為、強く出られるポケモンを用意しておきたいところ。
吹き飛ばしカバ、エアームド、アシレーヌ、すり抜けシャンデラなど
あとがき
考察は以上。筆者は柔よく剛を制すことこそポケモンの醍醐味だと思っているので今回の考察はとても楽しかった。
何か参考になるものがあれば幸い。